「尊厳死宣言」は、延命治療を望まないという意思表示です。
尊厳死宣言とは、「リビングウィル」ともいわれるもので、「回復の見込みのない延命治療はしないでほしい」という生前の意思表示です。
医学の進歩により長期間の延命治療も可能になりましたが、逆に「人間らしく死ぬ」ことが難しくなったともいえるかもしれません。
人間の尊厳を保ちながら自分らしい死に方を迎えたい場合にする自己決定といえます。
尊厳死宣言の方法は?
尊厳死宣言については、遺言のように民法で一定の方式が定められているわけではありません。
しかし、会話もできない末期の状態で、その希望が確かに「強い意思表示」であることを示すためには、医師や家族の誰もが認められるようなしっかりとしたものを準備しておいた方がよいでしょう。
具体的には、「日本尊厳死協会に尊厳死宣言書を登録しておく」ことと、「尊厳死宣言公正証書を作成しておく」ことが有効的だと考えられます。
尊厳死宣言の効力は?
尊厳死というのは法律用語ではなく、尊厳死宣言に医師が従わなければならないという法的根拠もありません。
しかし、日本尊厳死協会の2008年度アンケート結果によると、94%の医師が同協会登録・保管の「尊厳死の宣言書」を受容しています。※下図参照
ただし、実際の医療現場では、簡易な自筆の依頼書や遺言書(遺言は死亡前には何の効力も発生しない)に延命治療拒否の意思表示をしていたとしても、容認されない可能性があるため、事前に自分の意思表示を厳格に行っておく必要があります。
加えて、日頃から家族全員に自身の気持ちを伝え、きっちりと理解・納得を得ておくことも重要です。
しっかりした尊厳死宣言書と家族全員の同意があれば、医師も延命治療の中止を決断しやすくなるのです。
